
概要
- 延べ面積 :98.96㎡(29.93坪)
- 部屋数 :3LDK
- 玄関 ;北入り
- 間口(幅):10.01m
- 奥行(縦):11.375m
- 収納率 :12.97%
プランポイント
29.93坪の平屋3LDK。中庭を設けることで玄関・リビング・洗面のどこにいても視線が抜け、21帖のLDKに実面積以上の開放感が生まれます。回遊できる水回り動線や収納計画まで、設計の意図をわかりやすく解説します。
「平屋にしたいけれど、土地の広さを考えると狭くならないか心配」。そんな声を、私たちは本当によく耳にします。たしかに平屋はワンフロアで完結する分、面積の使い方がそのまま暮らしやすさに直結します。しかし、広さは数字だけで決まるものではありません。同じ坪数でも、視線がどこまで抜けるかで体感の広さは大きく変わるのです。
そこで今回ご紹介するのは、延床29.93坪の平屋3LDK。21帖を超えるLDKに加えて、中庭を効果的に配置することで「どこを向いても視線が抜ける」空間を実現しました。それでは、間取りの意図をひとつずつ見ていきましょう。
この間取りの基本情報
まずは全体像を整理します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 建物形状 | 平屋 |
| 間取り | 3LDK |
| 延床面積 | 29.93坪(約98.9㎡) |
| 建物寸法 | 10,010mm × 11,375mm |
| LDK | 21帖 |
| 主寝室 | 6帖(WIC 1.5帖付き) |
| 洋室 | 4.6帖 × 2室 |
| 主な収納 | シューズクローク/ファミリークローク3帖/パントリー/WIC |
| 敷地条件 | 北側道路・駐車2台分 |
つまり、決して特別に大きな平屋ではありません。むしろ平屋としては標準的なサイズです。だからこそ、**限られた面積をどう「広く感じさせるか」**が設計の腕の見せどころになりました。
ポイント1:玄関を入った瞬間の開放感は、中庭がつくっている
この間取りで最初に体感していただきたいのが、玄関です。
実は、この玄関自体は決して広くありません。ホールもコンパクトにまとめています。しかし、扉を開けて中に入ると、想像以上の広がりを感じるはずです。なぜなら、視線の先に中庭の緑が見えるように設計しているからです。
人は、壁が目の前にあると空間を狭く感じます。一方で、視線が遠くまで抜けると、実際の面積以上に広さを感じ取ります。要するに、玄関の広さを「面積」ではなく「奥行き」で解決したということです。
さらに、中庭は採光の役割も担います。北側道路の敷地では玄関周りが暗くなりがちですが、中庭から自然光を取り込むことで、日中は照明がなくても明るいホールになりました。
設計のねらい 玄関を1帖広げるより、視線が抜ける先をつくるほうが、体感の開放感は大きくなります。
ポイント2:どこを向いても視線が抜ける、21帖のLDK
続いて、この家の中心となるLDKです。
南側には大きな掃き出し窓を設け、ウッドデッキとお庭へつながる構成にしました。もちろん、これだけでも十分に視線は抜けます。しかし今回はもう一手間かけ、LDKの西側にも中庭を配置しています。
その結果、どうなったか。ソファに座って南を向けば庭の緑が、キッチンに立って西を向けば中庭の光が目に入ります。たとえばダイニングテーブルで食事をしているときも、視界の端に常に外部空間があります。方向を変えても視線が壁で止まらない——これが「視線の抜け感」の正体です。
中庭がもたらす3つの効果
- 体感面積の拡張:21帖のLDKが、数字以上に広く感じられます
- プライバシーを守った採光:外周に大きな窓を増やさなくても光が入るため、道路や隣家からの視線を気にせず暮らせます
- 通風の確保:南の掃き出し窓と中庭側の窓を対角に開けることで、風の通り道が生まれます
なお、こうした自然光や自然風を活かす考え方は「パッシブデザイン」と呼ばれ、冷暖房エネルギーの削減にもつながります。省エネ住宅の考え方については、国土交通省の住宅省エネルギー施策に関するページでも詳しく紹介されています。
ポイント3:リビングを通らずに移動できる主寝室
3つ目のポイントは、動線計画です。
この間取りの主寝室は、建物の北東側に配置しています。そして注目していただきたいのが、主寝室から廊下を経由して、水回りと玄関に直接行き来できるという点です。
一見すると地味な工夫かもしれません。しかし、この「リビングを通らない動線」があるかどうかで、日々のストレスは大きく変わります。
たとえば、こんな場面で効いてきます
- 朝、家族より早く起きて出勤するとき:リビングを横切らずに洗面所と玄関へ向かえるので、まだ寝ている家族を起こしません
- 夜、来客がリビングにいるとき:寝室と水回りの往復を、お客様の前を通らずに済ませられます
- 体調を崩して休んでいるとき:トイレや洗面へ、最短距離でアクセスできます
つまり、団らんのためのパブリックスペースと、休息のためのプライベートスペースを分離したということです。一方で、完全に切り離しているわけではありません。LDKからも寝室エリアへ行けるため、家族の気配は自然につながります。この「分けつつ、つなぐ」バランスこそが、平屋の暮らしやすさを左右します。
ポイント4:家事がラクになる水回りと収納計画
さらに、毎日の家事負担を減らす工夫も盛り込んでいます。
洗う・干す・しまうが一直線
洗面所・脱衣室(2帖)・浴室(2帖)を並べ、その先にファミリークローク3帖を配置しました。したがって、洗濯機から取り出した衣類を、数歩の移動でしまうところまで完結できます。
しかも、脱衣室と洗面所を分けているのが大きなポイントです。誰かが入浴中でも、他の家族が気兼ねなく洗面台を使えるため、朝の身支度が重なる時間帯もスムーズに回ります。
キッチン背面のパントリー
キッチンの背面にはパントリーを設けました。食品ストックや調理家電をまとめて収納できるので、キッチンカウンターの上に物があふれません。その結果、LDKの見た目もすっきり保てます。
収納量は延床面積の約12%を確保
収納計画の目安は、一般的に延床面積の10〜15%と言われます。この間取りでは、シューズクローク・ファミリークローク3帖・パントリー・WIC1.5帖・各居室のクローゼットを合計し、約12%前後を確保しました。要するに、後から収納家具を買い足さなくても暮らせる設計になっています。
ポイント5:北側道路だからこそ活きる配置
この敷地は北側が道路に面しています。一般的に、北側道路は「日当たりが不利」と思われがちです。しかし、実際には有利な面もあります。
まず、駐車スペースとアプローチを北側にまとめられるため、南側を丸ごと庭として使えます。今回のプランでも、南面の掃き出し窓の先に、道路から見えないプライベートな庭が広がります。
さらに、道路から建物までの距離が取れるため、玄関前の視線も気になりません。つまり、北側道路は「南の庭を独占できる敷地」とも言い換えられるわけです。
この間取りが向いているのは、こんなご家族
ここまでの内容を踏まえると、このプランは次のようなご家族に特に合うと考えています。
- お子さまが1〜2人の子育て世帯:4.6帖の洋室2室で、成長に合わせた個室が確保できます
- 将来を見据えて平屋を選びたいご夫婦:段差の少ないワンフロア構成は、年齢を重ねてからも安心です
- 在宅時間が長く、家の中の景色を大切にしたい方:中庭があることで、どの時間帯も心地よい光と視線の抜けが得られます
ただし、平屋は同じ延床面積でも基礎と屋根の面積が大きくなるため、2階建てに比べて坪単価が上がる傾向があります。したがって、資金計画は早めに立てておくことをおすすめします。住宅ローンの基礎知識については、住宅金融支援機構の公式サイトが信頼できる情報源です。
まとめ:広さは面積ではなく、視線で決まる
最後に、今回のポイントを振り返ります。
- 中庭を設けることで、玄関・LDK・洗面のすべてに視線の抜けが生まれる
- 南の掃き出し窓と中庭の組み合わせで、どの方向を向いても視界が広がる21帖のLDK
- リビングを通らない寝室動線が、団らんと休息をやさしく分ける
- 洗う→しまうが完結する水回りと、延床の約12%を占める収納計画
- 北側道路を活かし、南面を丸ごとプライベートな庭に
29.93坪という数字だけを見れば、決して広い家ではありません。しかし、視線の抜けをていねいに設計すれば、数字以上にのびやかな暮らしは十分に実現できます。
「うちの土地でも、こんな間取りは可能?」——そう感じていただけたなら、ぜひ一度ご相談ください。敷地の条件に合わせて、あなたのご家族だけの一枚をお描きします。
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こんな“間取り迷子”さん、ぜひご相談ください
- 提案されたプランに、どうもピンとこない
- 担当者と感覚が合わず、モヤモヤしている
- 「他の可能性」をプロの目線で知っておきたい
- SNSで集めた情報が多すぎて、整理できない
- 完成したあとの暮らしが、うまく想像できない
家づくりは、限られた期間のなかで、土地のことも住宅ローンのことも同時に決めていかなければなりません。仕事や子育てのあいまに、ご家族の意見をまとめながら、というのは本当に大変です。しかも敷地条件や住む人が違えば、同じ答えは一つとしてありません。正解のないものを一人の担当者だけと決めていくのは、やはりリスクがあります。
複数の設計士の目を通すこと、いわばセカンドオピニオンを受けることで、そのリスクはぐっと減らせます。今のプランのどこが引っかかっているのか、それを言葉にするお手伝いから始めましょう。
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